<<「管理社会」はたくさんだ>>
【産経連載コラム「政論探求」3日付・再掲】
電車に乗って不愉快なのは、携帯電話に関するアナウンスだ。
「優先席の近くでは電源をお切りください」「それ以外ではマナーモードにして、通話はお控えください」
これを何度も繰り返し聞かされたら、いいかげんいやになる。たしかに電車の中で大声で携帯電話を使われたら気分のいいものではないが、これは「管理」「強制」「指導」されるたぐいの話なのか。
つまりは人間社会の基本的なマナーの問題であって、車掌ごときに、とあえていうが、教えていただくことではない。
優先席を若者が占領して、年寄りが立たされている光景のほうがはるかに見苦しい。これは、倫理や道徳、規範の分野であって、突き詰めれば今の「日本の親たち」がなっていないことの証左である。
電車内で化粧する若い女性も同様だ。人前で化粧するのが許されるのは娼婦だけである。これを「親」が教えなくてはいけない。
そんなことを日ごろ感じていたのだが、政府の教育再生懇談会が小中学生に携帯電話を持たせないようにすることを盛り込んだ報告書をまとめたという。
ここまでくれば、これは国のあり方として、明らかにおかしい。そんなことを「お上」の威光をバックにして打ち出す異様さに気がつかないのか。
民間団体あたりがそういう運動をやるのならいい。PTAの連合会とか、いくらもあるではないか。断じて政府がこの手のことに乗り出してはいけない。有害サイトへの接触遮断は「親」や業界が自主的にやるべきことだ。
小中学生には確かに携帯電話は不要だろうが、共稼ぎの親との連絡に必要といったケースがあるかもしれない。一律管理の思想は危険だ。
タバコ自動販売機の成人認証カード「タスポ」は、財務省の行政指導で導入された。これと同根の「管理主義」の行き過ぎが目に余る。


by thinking
試される政権担当能力